paris-brest-paris Randonneurs 2019 11. Villaines LJ(1011.8)から Dreux (1173.7)
Villaines LJ pc11 21:45
起こったトラブルには、対応して進んでいくしかない。
諦めないかぎり道は、開けると思っている。
(DNFしたところで帰るのが大変なので自走で帰るのだけど)
特に内臓の不調を解決するのが難しい。
食べれないブルベは難易度が、数倍に跳ね上がる。
今回は、手の痛みも尻も素晴らしく状態が良い。
加えて筋肉の状態もメンタルも素晴らしく良い状態だった。
お腹が空いたので、フジェールのマックで買ったハンバーガーを車上で食べる。
冷めていても、肉(スーパーフード)は旨い。
食べるために走っている自分は、何よりも幸せを感じる。
自分は胃腸が動いているうちは、ジェル類は食べない。
昨日より暖かく感じたこの日の夜。
しかし、汗で濡れたウエアと疲労した体の組み合わせは、体表面温を気温近くまで簡単に下げてくれる。
下手すると、コア温度まで下がってくる。
街と街の間は、相変わらずも真っ暗で、時折遠くに見える風力発電がスタート地点近くまで戻って来た事を教えてくれた。
2.3時間走った小さい町にある私設エイドで、ショコラをいただく。
アンダーカロリーも手伝って、疲れた体に染みわたる。
参加者の為にこんな夜中まで、寒い中本当にありがとう。
ホントに自転車愛なのか?親切心か?
ありがたいと思う。
フランスという国は、もっと物騒なイメージを持っていたが、実際には違った。
いや、物騒な話もたくさん聞いたので自分がラッキーだっただけかもしれない。
とにかくフランスは自転車乗りの天国だった。
走り出して、リヤの泥除けが擦れる音がしたので、停まる。
ねじが緩んで角度が、ずれていた。
影と重なっているがわかるだろうか?
スタイリッシュだが、背中とお尻を守ってくれる。
機能的には十分!
ふと、タイヤのロードノイズで振り返る。
静かな夜の街を ランドヌールが駆け抜けていく。
普段であればこの時間は静かな街なみであろう。
4年に一度だけ騒がしい夜が来るのだろう。
ぼんやりと眺めながら、工具を取り出し締めなおす。
そしてまた走り出す。
そうして、またお腹が空いて来たころ。
本日、最初の眠気のピークが来た。
ランドアバウトを左に曲がり緩く下りながら、正面の広い丘に向かって
ランタンルージュが伸び、丘を越えていく。
舗装の綺麗なバイパスのようなまっすぐな道だった。
もう何時間と見続けている景色だが、この景色だけは飽きない。
そんな中、水色のスペシャライズドのフレームが目に入る。
初日以来のパックとなったランドヌールの顔なじみ。
始めて会ったのは、2017年の北見合宿だろうか?
あの夏は炎天下の30度超え。200でさえ、くらくらする位の気温でそれだけでかなりダメージだった。
一転、次の日の300は、終始土砂降りのなかなか厳しいブルベだった。
雨が降って楽しかった数少ないブルベ。
久しぶりの再会と ここまでの無事をわかちあう。
すこしパックして走ったが、この時が一番眠くて辛かった。
経験則で、眠い時は寝ろ!
なのだが、この時は会話も支離滅裂、眼も虚ろ、相当ヘロヘロな走りだったと思う。
特にある程度の勾配の登りになると、速度が落ちるのか緊張も緩んで眠気も強くなる。
寝落ちする寸前の眠気のピークだった。
ブルベを走っていると不思議な連帯感に包まれる事がよくある。
そして、それはすごく心地の良いものだ。
チャンスがあれば味わってみて欲しい。
日本から遠く離れたフランスで、極限状態で戦う仲間。
なかなか居ない存在である。
ここまで走ったからには、誰しもがフィニッシュを掴みたいもの。
帰国後に聞いたのだが、彼もまたPBPの魔物にやられてしまい。
この後、落車してフレームを破損してDNFしてしまったそう。
消耗品ではないものが壊れないものが壊れたとか、普段起きないトラブルがたくさん起きた話を聞いた。
やはりPBPには魔物が住んでいる。
マメールの街に入ると大きなテントに比較的大きな私設エイド。
街のサイクリングクラブが出してくれたものらしい。
今見ると右の方は、そのチームジャージに見える。
ここで食べた箱入りのチョコが美味しかった。
低血糖に効いた!
オイル分の少ないカカオ豆たっぷりのチョコであった。
何故か、個別包装してないが、それもフランスらしい。
あとは、右に見える小さなクッキー。
バターの香り高い美味しいもの。
(思い出補正入ってます)
あとは、ポテトチップスを食べたのをよく覚えている。
ここでは、AJ北海道のスタッフの方と会ったが、落車して少し怪我をしたとか。
猛者が集まるPBPでも、いろいろ起こるものだな。
と眠い頭で思った。
余談だがフランスから帰ってきて、お菓子とパンをあまり食べなくなった。
マドレーヌ一つとっても、カルフールで売っているものは、アーモンドとバターの香りがしておいしい。パンも小麦粉が違うのか?香ばしさが違う。
日本のパンも軽くてスカスカで、あまり食べなくなってしまった。
コストコのクロワッサンは、ちょっとバター過剰だけどフランスのに近いと思う。
帯広の六花亭のお菓子だけは、マーガリンやショートニングをあまり使っていない。
これだけは、今食べても美味しいと思う。
北海道ブルベの際にはぜひ美味しいものをたくさん食べて欲しい!
日本は、北海道にもたくさん乳牛がいる。
しかし、離農する農家も多い。
かたや、仕事が無いと落胆する若者。
そして、豊かな国とされているのにマーガリンとショートニングで作られたパッケージだけ豪華なお菓子やパンを食べている日本。
本当に 幸せとはなんだろうか??と
フランスの人は、みんな笑顔だったのが印象的だった。
もちろん、美味しいものが食べれるだけでは、幸せではない人も居るだろう。
しかし、3欲を 質の高いもので満たすのは、動物としての幸福度に大いに影響するのは異論無いだろう。
人間として、この動物3欲を満たした後に 社会的な幸せは成り立つ。
矛盾しているようだが、この3つが満たされないブルベを走っていると、この事がよく解る気がする。
土地勘も方向感覚もよく解らない真っ暗な畑の中を進んで行く。
どのくらい走ったのか?時間も距離もよく解らない。
夢の中にいるような不思議な感覚を感じる。
それも今日の夜でおしまい。
明日に昼にはすべて終わってしまう。
この残念な感覚は、いつも感じる。
この舞台で感じるそれは格別だった。
そんな事を考えつつ走っていると 遠くにまた街が見えてくる。
街を通り過ぎていくつもりで、夜の街に入る。
町中の激坂を登っていると人が増えてきて、黄色いベストを着た人が路上に立っていて、誘導される。
敷地内に入って確信した。
これは、PCだ。
Mortagne AP pc12
(2:43) 1096.2km 81:09 (13min)
ようやく一番はじめのウェルカムポイントに戻ってくる事が出来た。
バイクをチェックするも空気も抜けてない。
問題は起きてないようだ。
とりあえず、コントロールでスタンプを頂きレストランの方へ。
うろうろするも、惹かれるものは無く。(胃腸が不調気味だったのかも)
記憶では、12時過ぎのような感覚だったが実際は、この時間。
クローズの時間は、1:18 まだ1時間も借金がある。
間違いなく寝ている場合ではないのは確かだ。
仮眠という選択支など私には無かった。
ここでは、クロワッサンと赤ワインにピッタリなドライイチジクを食べる。
クロワッサンはカウンターでたしか1€。
お金を払うと、手づかみで渡してくれた。
(親切で渡してくれたと思う。やはり、フランスはおおざっぱな国だと思う)
拒否するのも面倒なので、受け取りかじりつく!
旨い!(N度目)
クロワッサンを口にふらつくと、コントロールの前にリカーカウンターがある。
赤ワインはどこにでもあったが、ここではウイスキーのようなハードリカーも売っていた。
目についたのは、レーズンとイチジクのドライフルーツだ。
ずっしりと詰まったデカイパックも売っていた。
フランスでは、日本のような個別包装なものは、本当に少ない。
しかし、ここでは透明ビニールに小分けされており、それを購入する。
2€位で8個くらい入っていたような記憶。
意識朦朧だったので画像はない。
一つかじると、酸味と甘みもあり、プチプチと旨い。
この後も車上で美味しくいただくことができた。
ナッツとドライフルーツは、ミネラルの補給に良いと思う。
長野や北海道もそうだが、寒暖差があると非常にフルーツが美味しくなる。
カルフールで、このドライフルーツをお土産に買い込んで帰国した。
お腹が満たされたところで
ふらふらとした足取りでバイクに向かい走り出す。
借金に追われる一日は、まだまだ終わらない。
自分の未体験ゾーンである4桁の向こう側。
限界の向こう側を見れる気持ちもあって、睡眠という選択肢はなかった。
あと122kmを8:30ほどで走ればよいのだ。
簡単なお仕事です。
そう自分に言い聞かせる。
ボトルの水を駐輪場の脇の水道から補給してリスタートする。
滞在はわずか13分。
借金を返すのだ!!
いつものごとくギリギリ隊なのが私。
さすがに今回は、寝過ごすのが怖くて途中で睡眠など、選択肢に入る余地もなかった。
そう!
この時点では。
おおきな谷に向かっておりつつ コーナーが見える。
赤camera氏に 再会してすこし、パックする。
止まって後ろを振り返ると今度は、白い光の鎖が絶え間なく続いている。
3日の夜にして初めて見る、前側からのプロトン。
今までは後ろを見る余裕などなかったのかもしれない。
ランタンルージュとは違った美しさ。
最後は、少し撮影していくとの事でお別れ。
久しぶりの街に入る。
1130km ヌイイ シュル ユール
角には、カフェそしてブーランジェリーがある。
何か食べておきたいが、店に入って物色するが、食べたいものがない。
ブーランジェリーには、パンも売り切れだったような記憶。
この記事を書いているときに 気が付いたがストリートビューがPBPの当日だった。
相当早い時間で参加者もまばらだが、to parisサインがあったり雰囲気は最高だ。
過去のビューも確認できるので数年は見れると思う。
店内を眺めて、この美しい光景を楽しむ。
カフェでは数人が、カフェを楽しんでいる。
数時間でこの時間が終わってしまうのが残念な感覚。
それだけ楽しかったという事だ。
PBPの舞台が、それだけ最高だったってことかもしれない。
初チャレンジのBRM1000は、早く終わってくれ!と願うばかりだった。
今ではそれも懐かしい。
リスタート時の気合はどこへやら。
今見ると先ほどのモルターニュから、わずか33キロの地点である。
やれやれと思いつつ、また暗闇へと漕ぎ出す。
小一時間ほど走ると、また街があり、大きな街路樹の奥にテントが見える。
なんの迷いもなく、そこに止まり 吸い寄せられるようにテントに入る。
往路は左奥から手前へ。復路は、右へ進む。
後から解ったことだがココは、スノンシュの街が用意してくれたエイド。
実は往路で寄った場所だが、往路と復路で違う場所を通るので2年近く経って同じ場所だと解った。(SNSで教えていただいた)
眠気の限界で立ちながら美味しいスープをいただく。
とにかく寒い。
やられていたので2杯目もいただく。
中に細かいパスタが入っているスープだった。
座ってはいけない。
立ち上がるにはエネルギーが必要だ。
ふと見ると椅子が空いている。
気持ちよさそうに 寝ている人がいる。
では、自分もちょっと座って一休み。
画像を見返すと少し明るくなってきている。
なぜだろう? なんだかとっても眠い。
目を閉じるとその瞬間に意識が落ちる。
zzz
体が、横に倒れて隣で寝ている人にぶつかってしまった。
sorry!!
ハッ
しまったww
でもまだ眠い
zzz
まだまだ寝足りないよ
zzz
と2度寝まで決め込んでしまった。
ヘルメットテールライトがついたまま寝ているのが自分だ。
次に目が覚めた時には、すでに外は明るかった。
やってしまった。
目覚ましも掛けないで寝るなんて。
我ながら、○○だな。
と思いつつ。
すぐに走り出す。
裏には、サーカスのようなテントが見えた。
街を抜けると澄み切った空。
マジックアワーは、とっくに過ぎていたが十分な美しさ。
朝霧が出てきて美しい。
朝を迎えることができた喜び。
ブルベのゴール近くで見る景色は、美しく感動を与えてくれる。
この景色を見るためにココまで戦って来たんだと思わせてくれる。
美しい。
疲労は、最高の額縁なのかもしれない。
ツライ夜を 超えて迎えた朝は本当に美しいのだ。
味覚にも、視覚にもこれは効く!
さっき意識が落ちたのは、どのくらいだったのか?
何時間?いや何十分だったのだろうか??
クローズには間に合うのか??
わかることは、ただ一つ。
脳が機能回復していることだけは明白だ。
このブルベ貰った!!
時計を見てドルーまでの距離と時間を測る。
しかし、時間に余裕などある訳がない。
焦らずに急ぐ。
画像が残っていることをみると、そこそこ余裕があったようだ。
この景色を形あるものに残したかったのかもしれない。
遠くに街が見えてきた。
終わり良ければすべてヨシ!!な天気。
街に入って、陸上競技場の前にスタッフが立っていることで気がつく。
ここはPCだ!
Dreux pc13
(8:17) 1173.7km 86:44 (30min)
到着して装備(ユニクロダウンとレインパンツ)を脱ぐ。
あれだけ寒かったのにもう暑い。
止まる時間すら惜しかった。
クローズタイムは、7:46
ブルベカードを見ると 8:25なので 39分の借金継続だ。(本当はpcを出たタイムで計算する)
私は、借金を返すことのできない男なのだ。
最後の一区間にアタックする!
ここまで来ると、是が非でも認定が欲しい。
レストラン(バー)は並んでいたのでパス。
ここの食事は美味しいとのレポートを読んだので残念だったが、仕方ない。
トイレに寄ってすぐにリスタート。
残りは、45km 自分のゴールリミットは11:30(90時間)なので3時間近くある。
これは、余裕のフィニッシュ!!(を確信していた)
しかし、ブルベはゴールするまで解らない。
バイクに乗り込むときにふらついて、やられている自分を嫌でも意識させられる。
これまでと、同じ作業を3時間!
簡単なお仕事のはずだった。
8:47 ドルーをリスタート!
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