Blanc upas vélo équipe ​

ブルベを走っているときに感じる「ロングライドとグルメの相性の良さ」。ランドヌールやランドヌーズと時間を共有する心地よさ。Blanc upas vélo équipe ​ は、この「心地よさ」を共有できる世界で唯一のフィクションクラブだ。

paris-brest-paris Randonneurs 2019 7.Carhaix(696)からLoudeac(782)

7.Carhaix(696)からLoudeac(782)

 

Carhaix(696)(20:02)

 

あと数時間でPBP3回目の夜が来る。

 

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20時を超えて影が伸びる。

 

今日は、暑い一日だった。

今振り返ってみると、ルディアックまで90キロしか無い距離なのだが、果てしなく遠い90キロだった。

いつもどおり、90キロとは認識せずに走り続けていたわけだが。

 

 

 

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茶色な牛の方が、美味しい牛乳を出してくれそうなイメージ。

フランスの牛は、フランス語を話す。

 

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なんだか幸せそう。

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北海道的ななにか。

そして、小さな街を超えていく。


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 走っていると前方にまたお二人が!よくエンカしますね。

 

同時に自分が休みすぎている事を悟る。

 

目指せオンタイム!

 

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ばるさんに、”次のシークレットがそろそろですよ”

 

そういわれて、ツイタで見た情報をお伝えする。往路と同じサンニコラがシークレットと伝えると残念そうな驚き。

 

2回目となると楽しむポイントが変わってくるらしい。

 

深い。

 

すこし並走し、激励してお別れする。

 

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ライトオンの時間です。

 

振り返ると太陽が沈んでいく。

 

そして、迫る夕闇。

 

あぁ。また、夜が来てしまった。

 

寒くならない事だけを祈る。

 

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 暗くなる寸前に 道路の真ん中でスタッフが旗を振っている。

 

 

”シークレット!”

 

 

 

St.Nicolas-du-Pelem secret

(22:23) 734km 52:49 (60min)

 

 

往路と違い外のテントがpcだった。

 

スタンプを貰うのと、スタッフ側にも自分の番号が控えられる。

 

ブルベカード紛失とICチップが読めなかった時のヘッジなのだろう。

 

ここは、Qシート上ではウェルカムポイント。

 

クローズの縛りはないが、Qシートを見るとクローズは20:57。

 

まだまだ借金生活だ。

 

上がらないアベレージに苦しむが、お腹もすいたし、建物の中に入る。

 

トイレに行ってからレジの列に並ぶ。

 

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サンドウィッシュの大行列をスルーして買ったのは、オレンジジュース。

 

同時にデバイスの充電もしつつ、SNSもチェックする。

 

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内臓の疲れ?からだろうか、体が酸を欲している。選択したのは、オレンジジュース。

 

フランスのオレンジジュースは、これまた本当にうまい。ボトルにも補充する。

 

よく見てはいないが、これはnot濃縮還元。つまりストレート果汁だと思う。

 

※気になって調べてみたら、やはりフランスではストレートが主流。遠くに運ぶ必要もないのにエネルギーをかけて濃縮する必要が無いのだ。

 

 

 

 

同時に、ナビデバイスiPHONEも充電しておく。

 

ばるさんとサメハルさんもお見かけした。

やはり停まる時間が長いと、ゆっくりめのペースでも変わらないもの。

もう何回目のエンカになるのやら?

 

上がらないアベレージ、減らない借金に苦しんだ一日だった。

 

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ぼんやりと考えながら、マックで買ったフランスオリジナルを頬張る。

 

パンが特徴的なこのバーガー。

 

やはりチャバタっぽいこのパンが旨かった。中身は、ハンバーガと同じで、ビーフパテ、ピクルス、チーズ。フランスはチーズが美味しいのだが、コレは普通のエメンタール

冷めたフランスオリジナルをオレンジジュースで流し込む。

 

死んでも、ルディアックまでたどり着かなくてはいけない。途中でくたばるわけにはいかないのでしっかりと補給しておく。

 

ふと、知っている顔から話掛けられる。

 

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久しぶりの遭遇。ルディアック以来だろうか?とっくに先に行ったものと思っていた。

 

今見ると、むちゃくちゃ眠そうな顔をしているが、当時は元気そのもの。

モチベーションの高さとフィジカルは、すごい人なので今回も余裕の完走だと思う。

 

 

調子は??みたいな会話をして、お互いの健闘を祈る。

ちょっと休んでいくとの事で、先に出発することにした。

 

お互いに自立しているからこそ、安心して、お別れ出来るもの。

 

逆に心配だから一緒に走ってあげようとか、不安だから一緒に走って欲しい。という関係は、極限では必ず歪を生む。

 

フレッシュの難しさは、お別れできないところ。

満足して組めるメンバーは、本当に限られる。

 

 

気が付くと60分もここに滞在していた。

 

疲れていたのか、止まりすぎ。

 

 

 

(23:23) リスタート。

振り返ると、48kmしかないこの区間が遠く苦しい道のりだった。

 

外は、すっかり暗かった。

ウェアリングは、ジャージの上には、公式のベストだけ。ウインドストッパーのウォーマーが効いているのか寒さはそこまでひどくない。

 

 

お腹も満たされ、やってくるのは??

 

そう!あれだ。

 

 

睡魔。

 

 

この時も、それは突然やってきた。

 

 

乗っていてマイクロスリープがきたら寝た方がいい。

 

なぜなら危ないから。笑

 

GPSのトラックを見ると762.9km地点。

時間にして1時間と少し走ったところで、電池が切れたように それは来た。

 

 

エマージェンシーシートも持っていたが、取り出す暇もなく、脇道に転がる。

 

 

まさか、人生でアスファルトの上に寝る瞬間が来るとは、夢にも思わなかった。

 

 

でも、星空がキレイだし、ランタン・ルージュも美しい。

 

 

そう思った次の瞬間には、意識が落ちていた。

 

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寒さで目が覚める。

 

 

自分がいまどこで何をしているかも一瞬解らなくなる。

 

 

サムイ。寒い。寒い。

 

 

 

 

 そうだ、今は。フランスでブルべ中だった。

何時間寝たのか?わからないまま走り出した。

 

 

 

 

眠気はとりあえず飛んだものの筋肉がカチカチに。寒いところで寝たから当然の結果。

 

 

 

普通の生活を送っていて、自分の脳みその限界まで活動する。

なかなか体験できる瞬間は来ないだろう。

 

 

 

 どこかの下りで、リヤタイヤが柔らかことに気が付いた。

 

リヤの空気が抜けてきている??

 

ブレストで補充したではないか!? パンク!?

 

まさかねぇ??お願いヤメテ!

 

 

と思いつつも止まってまで、見る気にはならない。

 

 

気のせいだと思いつつ走り続ける。

 

幸いリムと地面がぶつかる感触はない。

 

 

 通常だと手持ちのシーラントを追加して、CO2ボンベで空気を入れるのだが、どちらも限りがある。使わないとイケナイ状況にならないと、使うべきではない。

 

そして、この行動も後で生きてくる。

 

 

 

Loudeac pc8

(3:08) 782.2km 57:35(2:19)

 

 当時は、距離もわからないまま走っていたが、20kmほど、時間にすると1時間ほどだろうか?

やっとルディアックまで戻ってくる。

 

PC入口の段差でパンクを確信する。

 

 PC手前の通路にメカサービスが展開されている。

 

 

 

一人待ちだったがすぐにサービスは終わったようだ。

 

 

 

パンクを直すべくシーラントを購入して入れてもらう。代わりに作業してくれるなんてなんてありがたい事だろう。夜中の3時にメカサービスが動いているのも本当にありがたい。

 

確かハッチンソンのシーラントで15ユーロだった記憶。

 

残り半分は、どうする??

 

と問われたが、容器も大きく荷物になるのも嫌だったので

 

non(要らない)

 

と答える。手持ちの容器には、日本から持ってきたシーラントが入っていた。

 

 

 空気を入れて転がすとシーラントとエアーが全部抜けた。

 

 

チューブを差し出して、入れることを提案されたが、穴を下にして空気を入れて、トントンと弾ませると漏れは止まった。

すこし不安があったが、よくある話なので、そのままに。

 

チューブレスは、タイヤ交換直後も落ち着くまでにエア漏れが頻発することがある。

 

 

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お礼を言って、バイクラックにバイクを置く。

 

 

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PCでスタンプを貰う。スタンプの時間は、3:28。

ボランティアの後ろでは、シャケのホイル焼きが横たわる。

 

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今見ると、カレからの48kmに4時間も掛かっている。2時間近く眠ってしまったようだ。

そんなに寝れた事に あらためて驚く。(このレポートを書くまで自分が何時間寝たのか知らなかった)

 

 

そんなに寝ていたのか、、、

 

 

 

今だから解る事だが、この一日300kmちょっとに24時間掛けている。

睡眠を含んでいるというプラスな面もあるのだが、借金を抱えてあまり良い状況ではない事は確かだ。

 

 

屋内とはいえ、ドアは開けっ放しで外気温と同じ。ボランティアの後ろでは、シャケのホイル焼きが横たわる。

 

スタンプを貰ったことに安心して、コンセントでiPHONEを充電しつつ横になる。電源の確保は重要事項。事情があり、モバイルバッテリーを温存しなくてはいけない事態になったのだ。グーグルの位置共有も応援してくれる方には申しわないが早い段階で切らせてもらった。

 

しかし、 まさか人生において一桁気温の床で寝る瞬間が来るとは…

 

 ここは、フランスだぜぇ。

 

 

パトラッシュ

 

 

なんだか、とっても眠いんだ。 

 

 

zzz

 

 

 

 

 

 

 

寒い 。寒い。

 

またしても寒さで目が覚める。

 

どのくらい寝たのだろうか?そんなことより寒い。

 

 

 

 

 

 

暖かいものでも食べて、中から温めることにする。

この展開、非常にまずい気がする。

 

レストランの中でも野戦病院さながらに死体が横たわる。

なんてところに俺は居るんだ。

 

往路と違い、建物に入ってすぐ右のスペースもイートコーナーとして開放されていた。

これだと、ベッドスペースも満員だろう。

 

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 クローズの時間は、23:53 既に寝てしまったので睡眠の選択肢はない。

 

3.5時間ほどの借金生活継続だ。

 

借金継続のまま、強制的に一日のスタートが確定する。

 

 

pcの滞在時間が、2:19なので寝た時間は30分ちょっとだったのだろう。(これも今知った話なのだが)

 

 

 

バイクに戻り身支度をする。

 

心配だったエアーをチェックするも漏れはなし。

 

やはり寒いが対策はもうない。

 

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感覚的には、2時くらいの感じだったが、今書いてて解った。もう半分、朝だ。

 

当時は、行動から解るように 全く頭が動いていなかった。

 

あと何キロ自分が走るのか?走れるのか?

 

体の動く限り走って、のたれ死んでやるという心粋だけはよく覚えている。

 

 

 

準備をしてリスタート。

 

 

強制スタートで非常にブルベらしい。寝れない600ブルベを思い出す。

 

 

 

(5:27)

 

 

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