paris-brest-paris Randonneurs 2019 5.Loudeac (445) から Brest (612)
5.Loudeac (445) から Brest (612)
雨具プラス、ダウンの防寒装備で漆黒の闇へと漕ぎ出していく。
あと2時間もすれば太陽が昇り、自転車人生で最高の一日が始まるはずだ。
気温は5度ほどではないだろうか?吐く息が白い。2018の宗谷600も8度くらいの中を走ったがそれに近い気温だ。
ルディアックの街中で右に薄く曲がるのだが、標識を見落としてたようで、後ろから口笛で呼ばれて気が付く。
すぐにetrexを起こして確認するとミスコースしている。メルシーと叫んでお礼を言う。
自分の前にも人が居るが、叫んでも聞こえないよう。
残念だが追い掛ける元気はこちらにもない。ミスコースを楽しんで!と思い自分はUターンして町中の坂を進んだ。
町を出ると、一瞬だが10%近い坂を登る。畑の中を登っている気がしたのでいつもと同じ風景だ。笑
軽くジグを切って完登。
細い畑の中の道をひたすらに進んでいく。睡眠が効いているのかペダリングも軽い。
数えきれないアップダウンを超え50キロも走らないうちにWP(ウェルカムポイント)のサンニコラに到着。
全員が通るように誘導される。
スタッフがシークレット!と叫んでいる。
今回はココがシークレットpcのようだ。
St.Nicolas-du-Pelem secret
(6:36) 494km 37:03(25min)
お腹は空いてないが、糖質が足りない。そのままバーの列に並んでコーラを買うことにした。
そして、目の前にいる日本人。なんとなく見た記憶があるような。
辛い!眠い!!なんて話をしていろいろ話す。
コーラをシェアしようと持ち掛ける。PCでは、缶や瓶コーラばかりで1.5Lのペットボトルは、あまり見なかったが、ここでは缶2本分でペットボトルが買える。
シェア快諾いただいて、話し込む。
北海道から来たと聞くと、ピンと来た!港町の人だと!
北海道から今回参加している人数は限られる。
ましてや、狭いブルベの世界。一つ秘湯のピースを探すように、今年のBRMで探していたのだ!
自分は、最後尾を走っている事が多いので、速いペースの人とは会わないことが多い。
北海道のブルベではなく、フランスの地で初めて会うなんて面白い!と思いながら、座って話す。
シェア分を払おうとすると0.5€足りなかった(50¢がなかった)。次回会った時に!(といいつつ渡し忘れている。今年のBRMで渡そう)
ルディアックのレストランのパンをかじりながらコーラをいただきボトルに詰める。
寒いながらも装備のおかげで汗ばむほどだったので、今日もコーラが旨い。
いつもはサーモボトルに 氷を詰めてコーラを入れると20時間くらいは氷が残る。
フランスだと寒くて氷は不要だった。(というか手に入れるのが大変)
もっと言えば、PCで売っているコーラも冷えているものは、ほぼなかった。
それはスーパーでも同じで、冷やして売っているものは本当に少量で、ほぼ室温で売っている。しかし、それでもそんなに不満はないくらい冷涼な気候なのだ。
特にブルターニュ地方は!
フランス人はお腹を冷やしたくないらしい。謎
そして、赤ワインは冷やす必要がない。というのもよくわかる。
冷えたコーラを楽しんだ後、お互いの健闘を祈って、自分は先に出発することにした。
外は、まだ暗く、太陽が出るにはもう少し時間がかかりそうだ。
今見ると7時近いのだが、サンニコラを出るときは暗かった気がする。
乗り始めは寒い。
今日もいくつもの丘を越えていくのだろう。
谷底を通る時には、濃霧を浴びグラスには水滴が付き、冷蔵庫のような冷気が溜まっているのがよく分かった。
どこかの交差点を右折し、広い幹線道にでる。
と、前を走っていたブラジルの人が眠いのか左の対向車線へとはみ出していく。
そして前から来るトラック。
あー!これは、死ぬやつだ!!
そう思って叫ぶ。
”アヘーッド!!"
スプラッシュの瞬間は見たくない。
無事に事故は回避された。
公にはされていないが、PBPは期間中に毎回一人は事故死している激しいイベントでもある。今回は、誰も命を落とすことはなかったようだが、救急車は何度か見かけた。
自分が棺桶に入らないとも限らない。
ブラジルの人は、たぶん眠気から意識朦朧としたのだろう。しっかりとした睡眠をとれた自分とは、だいぶんコンディションは違うように思えた。
ふらつくとか、危ない!とかは結構見る光景だったりする。
すぐ抜いてしまったので彼のその後は知らない。
ゴールできたのであろうか?
とりあえず、一人のランドヌールの命を救うことができたはずだ。
この区間は、細い田舎の並木道でよく印象に残っている。美瑛によくあるタイプの道である。丘の上を淡々と進んでいくような道だった。
その後、クラシカルな泥除けのカナダの人とパックして町に到着。
サポートの車が、多く止まっていることでPCが近いことを知る。
カレ プルゲールのPCに到着!
Carhaix pc5
(8:23) 522.4km 38:50(13min)
たくさんのバイクを止まっており、ボリュームゾーンに復帰した感がある。
クローズの時間は、5:15 借金は、まだ3時間ほどある。
当面の目標は、オンタイムに戻すこと。挽回しないと後半がつらくなる。
コントロールでスタンプを頂き、すぐさまリスタートする。コントロール横には、レストランがあり、たくさんの椅子がテーブルの上に載っている。寝るためのスペースを作る為なんだろうか??
入口付近で風景を眺めると、道路の反対側に仮眠所( シャワー)があるらしい。歩いて戻ってくる人が多数。歩くと結構遠そう。
この時間に目覚めるとは幸せなブルベだろうと思うが、ほかの人のレポートを見ると寒くて寝れなかった人もいたようだ。PCによっては、雑魚寝にレスキューシートを渡されてオシマイのところもあったようで、間違いなくQOB(quality of brevet)に大きな影響を与える。
PBPのコントロールに関しては、ばるさんがまとめてくれているのでそちらを参考にしていただきたい。
しかし、4年に一回のイベントの為にベッドマットを用意したり保管するのも大変なことだと思う。ボランティアの方々も寒い中、エントラントを誘導したり、ひたすら座ってカードにスタンプと時刻を記入していく。
御年を召した方も多く徹夜は堪えるだろう。我々は、好きでブルベを走っているが、いくら自転車好きとはいえスゴイ情熱だと思う。
フランスは、本当に自転車愛にあふれる国だった!ありがとう!
早速リスタートする。滞在時間は、13分だ。
出口には、各国の国旗の看板が立っておりPBPレポートで見た景色。
憧れた舞台に自分が立っている幸せを噛み締める。
とりあえず、借金を返すべく先を急ぐ!
カレの町を出て、登りだが、海の方へ向かう。
勾配が緩くなったところで、後ろからオーストリア列車が来たので一番後ろにつかせてもらう。
しかし、少し走ったところでオーストリアチームは、街のオープンテラスで休憩をとるようだ。残念!
後発の84時間グループは、90時間スタートの12時間の翌朝に出発してくる。
自分達と逆のタイムテーブルで進行するため裏PBPだとか。
見ていて思ったのは、その多くは軽装で速く走って長く休むスタイルの走り方をしているようだ。
二日目以降に抜いていく速くグループはこの84時間組が多かったようだ。
もっとも、90時間で速い人は、自分より前にいることは間違いないのだが。
幹線道からまた、細い道へ右折して、また丘が見える。また丘までの登りだ。
まったりとしたスピードで登っていく。暑いのでダウンを脱ぐ。
しばらく進むと、また先ほどのオーストリアのパックが後ろから来たので、パックさせてもらう。
緩い登り勾配がずっと続いていたのだが、パックのメリットは絶大!!
ソロでゆったりと行こう!とは到底思えなかった。
このパックは、他の人のレポートにも出てきており、良いペースで走っていたようだ。
しかし、一回も前に出ることもなかったし、会話ができるスピードではなかった。
パックしてもパワーを出しすぎているが、快適なので頑張ってついていく。
丘の上まで登っていくとその先には、キレイな湖の景色が広がっていた。
この後、サメハルさんに2017の宗谷以来に遭遇する。後ろから見てもすぐわかるピンクっぷり。ばるさんも一緒のようだ。
当時、本当に600走れるの!?というくらい素晴らしいペダリングだったが、普通のペダリングになっていた。
パックしているので、追い抜いてからサムズアップして通り過ぎる。当然、自分のことはわからないだろう。
3年ぶりだし、向こうも自分が誰だかわからないであろうが挨拶みたいなもの。
参加している事は知っていたが、不思議と会わなかった。
2019クローバー1200を完走されており、自分より先輩になるわけだが、、、
あのDNF多数だった、ほぼ雨の1200は、心折れるシーンも多かったのではないだろうか??
ブルベは、総力(走力)もさることながら、折れない心が大切。
感覚的には1時間程度だろうか?快適なオーストリア列車に乗って”メリハリ”が付いたライドとなった。
低血糖になってきたので離脱して軽く食べつつ、ソフトシェルを脱ぐ。
ゆるゆる走っていく。
ここから、幹線道路をゆるゆると登っていく。遠くまでランドヌールの列が連なっていて登りが続くという現実を嫌でも認識させられる。
ここまで本当に平らな場所がない。
勾配が緩いとはいえ、20キロ続く上り坂が、全て見渡せる。しかも直線!この経験は今までないような気がする。北海道には30キロの直線道路があるが、それが上り勾配だったら??
レポートによると時折5%の勾配が、あるが平均は2%と苦になる勾配ではない。ちょっと進まないと感じる程度だった。
時間にして1時間ちょっとの我慢の時間だ。
遠くにコンクリートの建造物があり、帰って来てそれが原発だったと知った。
フランスは原発大国なのだ。
ピークをすぎると大きなランドアバウトがり、それを超えると長い長い下りと、これから向かう方向の展望がひらけた。下りは、なかなかの勾配で速度が気持ちよく上がっていく。
しかし、風はアゲインストでクランクを回さないと速度は出ない。
最初こそ勾配もあったが、しばらくすると平地のような下りになってしまった。
暫く走るとすっかり平らになり特徴的な並木の道に出た。
奥には、とうもろこし畑が見える。
ここの道沿いは、気持ちよく寝れるようで数多くのランドヌールが転がっていた。笑
その中に特徴的な水色のBASSOを発見。
オーナーは気持ちよさそうに寝ていた。
更に進むと574キロ地点sizunの街に到着。
ボトルが空になったので、水とコーラを補給したいところ。
ここでは、街が出してくれている私設のエイドがあって、コカコーラが見えたので、停まる。
ここでは、コカと水とオレンジ1個を頂いた。フルーツも旨い!!
マダムとは、いろいろ話をしたけど、娘さんが日本に行ったことがあるという話。
フランスは、親日家が多い。
これは、本当の話と実感した。
せっかくなので、一緒に写真を撮ったり。持ってきた折鶴を渡して、感謝を伝える!
帰って来て知ったが、この周りにはちらほらと、おいしいパン屋があったそう。
またまた宿題が増えた。
D764とは、ここで一旦お別れ。この写真に写っているレストランが、私設のエイドを開設していた。
看板に”pizza”の文字が見えたので、食いたい!!その一心で止まった。
しかし、外のテントには、残念ながらピザはなかった。
向かいのスタンドでトイレを借りてリスタート。
この先でサメハルさん達とエンカした。
スピードが落ちていて、いろいろ精神的に追い詰められているよう。
時間が苦しくて、ブレストでFしようか迷っているようだ。
”ワンチャンあるかな??”
って聞かれたけど、
全然まだ間に合う!!諦めたら負けだ!!
と自分にも言い聞かせるように言った。
諦めない心、大事!!
二人は、自分より15分、30分遅いスタートのはず。自分より、アドバンテージがある。
ちょっと歓談して、ツーショットを撮って差し上げた。
軽くダンシングして、ふと見ると2人が後ろに。数回振り返るも、距離が縮まらないので、健闘を祈って先に行かせてもらう。
そこからは、また一人旅に。
街を超え、高速道路を跨いで更に進む。
しばらく進むと前に海らしきものが、見えてきた。
たくさんのランドヌールが、ここまでこれた喜びを写真に残していた。
橋をわたると、住宅の前を通り、湾沿いを500mほど走る。この旅で海沿いを走るのはここだけだった。
線路の下を通りブレストの街中へ進む。
少しきつめの坂を超え、登っている最中にパラパラと雨が来た。
スタートしてここまで晴れだった事に感謝して、バス停で一休み。
離れたところの空は明るく、すぐ止むだろう。
濡れて走るには、肌寒く。雨具を出すほどの雨でもない。
ブレストの街は、坂ばかりで港町な感じ。小樽みたいな感じ。
程なくしてpcに到着。
Brest pc6
(13:16) 612.3km 43:42(22min)
お昼までに到着と思ったが、厳しかったようだ。
とりあえずコントロールでブルベカードにスタンプをもらう。
なぜか、フランチの書く数字はオシャレ。13時16分。
見てもらえれば解るが、街のサイクリングクラブのスタンプが押される。
想像だが、クラブの恒例行事になっているのだと思う。
ブレストのステッカーをもらう。
レストランは、混んでそうだったので、とりあえずメカサービスでポンプを借りエア補充して、手持ちのオイルをさす。これでまた600キロ安心して気持ちよく走れる。
念の為、シーラントで塞がった穴を確認しておく。固まったシーラントが見えるが、問題ないようだ。
このときはそう思った。
クローズの時間は、11:46 1.5 時間ほど前。
まだまだ借金生活は継続中だ。
出発の時間で見ると1:52の借金生活である。
このときは、気がついていなかったが、自分は、大きな勘違いをしていた。
それは、後ほど。
うまいものが食べたいので、ブレストの街中で食べる事にする。何より、シューズを脱ぎたい。
スタート前は、寝ないでココまで来よう。
そう思った事もあったが絶対に無理なことを悟る。
PCの出口で、またサメハルさんに会う。
フードをゲットしに行くのであろうか?
自分と対して変わらないタイムではないか!?
この程度の遅れならば、全然時間内ゴールできるであろう。とこの時は思った。
この後もたびたび、スライドすることになる。
挨拶してリスタート。
とりあえず、なにか”うまいもの”食べたい。
そう思ってブレストのPCを後にした。
美味いものを食べる!!というのは、全ての原動力だ。